秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています
「煽っているのか」
「そ、そんなつもりは……っ」
彼の舌が胸の敏感なところをとらえた。
ふわふわと宙に浮くような思考の中、強烈な快感に襲われ腰がビクンと反応してしまう。
「わかりやすいな、杏奈は」
ひどく艶めかしい声が耳元に響いて、そっと吹きかかる吐息にも奥から熱があふれそうになる。
こんな単純な自分が嫌だ。
だけどこうなることを望んだのは私自身。
この行為に未来はないとわかっている。
「俺のことだけ考えていろ」
だんだんと余裕がなくなっていく切羽詰まった声色。
太ももに当たる三井先生のものが硬くなっていることに気がついた。
室内が暗くてよかったと本気で思う。
明るいところでこんな顔を見られていたら、とても言い訳なんてできないだろう。
汗なのか水滴なのかわからない雫がぽたりと落ちて、私の頬を濡らす。
彼の指が私の太ももを這ってショーツの隙間から秘部に触れ、絶頂の寸前を迎えようとした時。
「っ……!」
最後に熱いものに貫かれ、身体の芯が火照って大きく腰が跳ね上がった。
甘く激しく押し寄せる快感の波に、細い糸一本で繋がっただけの理性が飛んでしまいそうになる。
声を我慢していると、柔らかな唇が降ってきた。
激しく打ちつける腰とはちがって優しいキスが落とされる。
「杏奈……っ」
慈しむような声で名前を呼ばないでほしい。
いい思い出なんていらないのだから。
どうしようもないほどに胸の奥が疼くのを感じながら、私はきつく目を閉じた。