秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています

次に目が覚めた時、重厚なカーテンの隙間から日が射し、太陽が高い位置にあった。

なんとなくの感覚から、朝ではなく正午近い時間なのではないかと察する。

昨夜(といっても今日なのだけれど)の出来事は鮮明に記憶として残っている。

三井先生に抱かれたという事実。

思い出すだけで熱が蘇り身体が火照った。

隣を見ても彼の姿はなく、クイーンサイズのだだっ広いベッドが余計に大きく感じた。

私はというとバスローブを羽織ってはいるものの、前がはだけ、だらしのない格好だ。

そういえばチェックアウトって何時なんだろう。

ちゃんと聞いておけばよかったと後悔しながら起き上がり、大理石のフロアに散らかったままであろう衣服を探す。

しばらくあたりを探すも見つからず、ふとソファを見るときれいに畳まれた状態で置いてあった。

「ここまでしてくれなくてもいいのに」

一夜の出来事だと割り切るためにも、思い出は少ない方がいい。

それなのにふつふつとこみ上げるのは、優しく男らしかった三井先生の姿。

あそこまで優しく、そして甘く、それでいて激しく、情熱的に抱かれるとは予想もしていなかった。

失礼だがもっと淡白だと思っていた。

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