秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています
「あ」
サイドテーブルの上にメモがあるのを見つけ、思わず声がでた。
『時間制限はないからゆっくりしていくといい。また連絡する。』
短くそれだけ書かれたメモをしばらく凝視する。
『また連絡する』
『また』
ただの社交辞令かもしれないし、何かを期待しているわけでもない。それなのに心がざわざわして落ち着かない。
「だめだめ!」
そんな感情を払拭するように頭を振って立ち上がると、手早く着替えを済ませた。
「さぁ、帰ろう」
ここを出たら、きれいさっぱりなかったことにする。
そう覚悟を決めると、バッグを手にしてスイートルームをあとにした。