秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています
予想外な出来事
それから約一カ月、日々の業務に忙殺されながら仕事に没頭する毎日を送った。
忙しくしているうちにいつの間にか四月も下旬に突入していた。
朝晩は未だに冷え込むものの、日中は暖かく汗ばむ日もあるほどだ。
そんな中久しぶりに美咲と休みを合わせ都会に出向いていた。
「こんなに贅沢した休みは久しぶりかも」
テラス席がある和モダン風のおしゃれなカフェでランチをすることになった。
オーダーを済ませてホッと一息。
今日は日頃仕事を頑張っている自分を労うというコンセプトをもとに、ほしいものや食べたいものを我慢せず、欲望の赴くままに行動しようということになっていた。
「あとはヒールがほしいな。それもうんと高さのあるピンヒール」
テラス席の両脇にどっさり置かれたブランドの袋はすべて、欲望の赴くままに美咲が衝動買いしたものだ。
「まだ買うの?」
「独身のうちしか好きなもの買えないし、使う時はパーッと使った方が気持ちいいじゃん。杏奈はまだ洋服一着だけでしょ? 他にももっと探してみようよ」
「うーん、そうだなぁ」
「あれ、あんまり気乗りしない?」
「そういうわけじゃないんだけどね」
なんだか少し胸焼けがする。
実は朝起きてからも感じた症状だったが、美咲との約束があったのでのどごしのいい飲むゼリーだけで朝食を済ませ、準備に取り掛かったのだ。