秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています
『妊娠』
そのワードが頭から消えることはなく、そのあとの私は心ここにあらず状態だったにちがいない。
それでも美咲は何も言わず、明るくいつも通りに振る舞ってくれたので私もなんとか理性を保てた。
だが到底買い物する気にはなれず、それを察したのか私の体調を気遣い、早めに解散しようと言ってくれた美咲の優しさに申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
『何かあったらいつでも相談に乗るから』という美咲の言葉に思わず涙がでそうになったほど、この時の私は動揺していた。
「やっぱり一週間も遅れてる」
スマホのアプリで月経の管理をしていたので日付は確かなはずだ。
帰りの電車でスマホを持つ手が震え、立ちくらみまでしてきた。
いや、でもまだ妊娠していると決まったわけではない。ただ生理が遅れているだけ。絶対そうに決まってる。
何度も自分にそう言い聞かせながら、最寄り駅で薬局に立ち寄った。
このまま不安な日々を送るよりも、検査をすれば白黒はっきりする。
何よりも安心材料がほしくて、妊娠検査薬を購入し、帰宅を急いだ。