秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています

「うそでしょ……っ!」

判定窓にくっきりとしたピンク色の線が浮かんでいるのを見て驚愕する。

箱の見本図と見比べてみても、どうやらこれは陽性判定、つまり妊娠確定でまちがいないということらしい。

「なんで?」

何かのまちがいでしょ。

まちがいではないとわかっていても、そう思わずにはいられない。

だってたったの一回で妊娠だなんてありえない。

しばらくトイレから出られず、ただ信じられない気持ちでいっぱいだった。

もちろん結果が覆るわけもなく、力なく立ち上がりトイレからでると、私はそのままベッドに直行した。

想像を超える出来事に思考が追いつかない。

何かのまちがいであってほしいけれど現代の検査薬はほぼ確実だというし、十中八九まちがいではないのだろう。

相手はもちろん三井先生だ。

彼との赤ちゃんを私が一人で育てられるのだろうか。

仕事との両立ができるかどうかもわからない。

片親だと何かと不自由をさせてしまうこともあるかもしれない。

果たして私にちゃんと育てられるのか。

宿った命を消すという選択肢は私の中にはなく、でもそれは私が命を守る立場の看護師だからというそんなきれいな理由ではない。

他でもない、三井先生との赤ちゃんだったから。

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