秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています

二人で頑張っていこうね。何があってもあなたの笑顔は私が守るから。

無意識に腹部を撫でると、その手を蹴り返すように、ポコっと小さな振動を感じた。

ポコポコ。その後も数回、蹴り返される。

ま、まさか、これが胎動……?

初めて応えてくれたことに驚きを隠せない。そして、本当にこの中に赤ちゃんがいるのだと実感した瞬間だった。

「あら、どうしたの、芹沢さん。お腹でも痛い?」

恥ずかしいやら情けないやら、涙が浮かんでくる始末。そんな私に気がつき、二人はとても心配してくれた。

「い、いえ、今……胎動が」

「あら、そうなのね! おめでとう!」

「そうよね、そろそろ時期だものね。よかったわね」

二人も同じように喜んでくれて、指先で涙を拭う私に温かい眼差しを向けた。

この子がいれば大丈夫だと、強く思わせてくれた瞬間でもあった。胸に燻るこの気持ちも、この子がいれば忘れられる。

母は強しというけれど、この子さえいればなんでもできそうな気がした。

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