秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています
次に目が覚めるとまったく見覚えのない場所にいた。四方をカーテンが囲み、私はどうやらベッドに横たわっているようだ。
ここは、病院……?
雰囲気でそうだと察する。
ぼんやりしていた視界が徐々にクリアになってきたところで、カーテンの外から「芹沢さん」と声がした。
「関根、院長……?」
「気がつきましたか。とにかく無事でよかったです。ベビーも無事ですよ」
「す、すみません、私ったら……とんでもない失態を」
記憶はないが、きっと部屋で倒れたのだ。そこを院長先生に助けられた。どれだけの迷惑をかけてしまったのだろう。
考えるだけで頭が痛くなる思いだ。
「気にしないでください」
柔和な院長先生の笑顔が胸の弱い部分に突き刺さる。
「本当に無事でよかったです。ただ少し切迫早産気味なので、芹沢さんは臨月まで入院することになりました」
「切迫、早産……? 赤ちゃんは大丈夫なんですか?」
私が無理をしたせいで、赤ちゃんにまで迷惑が?
こんなの母親失格だわ。なんて情けない。
「あまり思い詰めないでください。不安はベビーにも伝わりますからね。母体を休ませようというベビーからのサインだと思うことで、ずいぶん心が軽くなりますよ」