秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています

蓋をしたと思ってもふつふつと湧き上がる想い。

安成さんが打ち明けてくれたことによって私まで本音が漏れそうになったけれど、純愛を貫いてきた安成さんに、とてもじゃないけど私の話などできるわけがなかった。

「そうですか。またお見舞いにくるので、言いたくなったらいつでも言ってください」

そこまで親しくないからこそ、話せることもあるのかもしれない。

口にしてしまったら、必死で抑えてきたものがあふれて止まらなくなりそうで怖かった。

「それでは僕はこれで」

颯爽とした足取りで安成さんは病室を後にした。

みんなそれぞれ事情があって、色んな想いを抱えている。

そう思うと孤独ではないような気がして、ほんの少しだけ心が軽くなった。

それから三日もすれば熱はすっかり引いて、風邪症状も落ち着きを見せ始めた。体が楽になるにつれ、安静を強いられる入院生活は退屈で仕方がなく、時間の経過が遅く感じる。

「杏奈、きたわよ!」

「み、美咲!?」

ヒョイとカーテンから顔を覗かせたのは、以前の同期の美咲だった。

久しぶりに連絡がきて入院していると伝えたのは三日前。

その時は何も言っていなかったから、突然のことに驚きを隠せない。

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