秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています
「それにしてもまさか、妊娠していたとはびっくりよ」
美咲には詳しい事情を説明していなかったので、寝耳に水だったようだ。
私も家族以外に話すのは美咲が初めてだった。
「で、相手は誰なの?」
「そんなこと聞かないでよ」
「あたしの知ってる人?」
美咲に私の声は届いていないようだ。納得がいくまでしつこく聞いてくるのは間違いない。
いくら美咲にだって、相手が誰かなんて言えるわけがない。
「さっさと白状しろー、すごーく心配したんだからね」
「ごめんね、美咲……」
心配してここまできてくれたんだということは、よくわかる。
「間違っていたらごめんね。相手はもしかして、三井先生だったりする?」
「なっ、えっ、ええっ……!?」
「いや、あのね、三井先生がわざわざあたしのとこまできたのよ。杏奈の居場所を知らないかって。脳外科病棟からわざわざだよ?」
「なっ、なに、それ」
どうして、そんな。パニックになりそうな気持ちをなんとか落ち着け、冷静なフリをする。
落ち着け、取り乱したら美咲にバレてしまう。
「そ、それでなんて答えたの?」
絶対安静の指示なのに、思わず身を乗り出してしまいそうになった。