秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています
「ふふ、気になる?」
「そ、それは」
気にしているのが丸わかりだったようで、美咲はクスッと笑ってみせた。
「安心して。知りませんって言っておいたから」
「そう、ならよかった」
それを聞いてホッと胸を撫で下ろす。三井先生に居場所を知られたのでは、ここまで逃げてきた意味がなくなってしまう。
美咲もそれはわかってくれていたようだ。
「この先も言うつもりはないけど、その代わりにお腹の子が三井先生なのかどうかだけはきちんとあたしに教えなさい」
「……」
ここまできてくれた美咲に、これ以上否定はできなかった。
肯定しなくとも、私の態度で美咲は察したらしい。それ以降、黙ってしまって何も言わなくなった。
「ごめんね、美咲」
「ばか、どうして謝るのよ。それでもあたしにだけはきちんと話してほしかった。杏奈のこと、親友みたいに思っていたんだからねっ」
「美咲……」
涙目になっていく美咲を見て、私まで目頭が熱くなった。
「ばかばか、杏奈の大ばか!」
「ごめん、ごめんね……」
「ついでに言うと三井宏太も大ばか者よ……!」
そう言いながら、指先で涙を拭う美咲。