秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています
「そ、そんな……っ」
その後すぐに尋常ではないほどの痛みが襲ってきた。
感覚がどんどん短くなり、痛みの頻度が増してくると、話どころではなくなった。
全身からは大量の汗が吹き出し、痛みで気が遠くなりそうになる。体力を奪われ、身も心もボロボロだ。
「頑張ってください、頭が見えてきましたからね」
スタッフがお産の進み具合を確認すると、急にバタバタと慌ただしくなり出した。
「も、もう生まれるんですか?」
「ええ、あと数分だと思います」
「そうですか」
「パパさん、落ち着かないですよね。でももうすぐですから。手を握っててあげてください」
そんな会話が聞こえたが、あまりの痛みに聞き取るだけで精いっぱいだ。
そして三井先生はそっと私の手を握った。するとすぐに次の陣痛がきて、その手を力いっぱい握り返す。
そして思いっきりいきんだ。
「くっ、うっ」
叫び声が上がらないよう歯を食いしばるが、とてもじゃないが我慢ができそうにない。
そのうち産科医もやってきて、分娩室にはたくさんのスタッフが集まった。
「もう生まれますよ」
産科医がそう言った次の瞬間、元気のいい産声があたりに響いた。