秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています
そうまでしても手に入れたい。こんな気持ちは初めてなんだ。そのためならなんだってしてみせる。
「杏奈の気持ちを聞かせてくれないか」
「三井先生はどうしてここがわかったんですか?」
ずっと疑問だったのだろう、そう聞き返された。
「ある人物から聞いたからだ」
「そう、ですか」
「妊娠したこと、どうして黙っていたんだ」
後ろめたさからなのか杏奈は目を伏せた。長いまつ毛の影が落ち、それだけでドキリとさせられる。
「大丈夫、ですから。この子は一人で育てます。三井先生に迷惑はかけません」
コットの中の小さな命を見つめる杏奈の横顔はしっかりとした母親のものだった。
「俺の子なんだよな?」
もちろん確信はあったが杏奈の口からも聞いておきたかった。そうだと言われたら、もう我慢などしなくていい。
全力で奪いにかかる。
言われなくてもそうするが、気の持ちようが違ってくる。
「そう、です。あの日に授かった子です」
ベッドの上で震える杏奈の体を無意識に抱きしめていた。
「そうか。ありがとう」
これまでに胸が震えるほどの感動はあっただろうか。こんなに嬉しい日は他にない。
「あの、私は」
口をパクパクさせながら戸惑っているであろう杏奈に、ますます愛しさが込み上げる。