グレーとクロの世界で
そんなことを考えてたら、廊下がどんどん騒がしくなってきた
悲鳴というか歓声というか、表現の仕様がない声がどんどんこの教室に近づいてくる
きっと、いや、絶対本田くんが来たのだろう
ガラガラ
ほらね
教室に入ってきた本田くんは、心做しかウンザリした顔をしている
名取くんも続いて教室に入ってきたが、その表情に昨日のような笑顔はなかった
なんとも言えないオーラを放っている二人に声をかけられる人はなかなかいないだろう
「なぁ、凪斗。この空気どうにかなんねぇの?2日目からこんなふうになるとは思ってなかった。」
荷物を自分の席においてきた名取くんがこっちに来て、愚痴が始まった
ほんとにいつも2人は一緒に居るみたい
殺気が出ている気がするし、勘弁して欲しい
私は全く怖くなかったけど、香澄には刺激が強すぎたみたい
2人は教室から出ていきたいだろうけど、今外に出れば袋の鼠だ
それをわかってて、教室にいるんだろう
「まぁ、そのうちこうなることは分かってましたし。」
「そうだけどよー。」