グレーとクロの世界で
フシギな女(凪斗side)
面白い女
そう思ったのが始まりだった
ただ単純に興味を持った
だが、“興味”という言葉で片付けられないほど、今俺は彼女に夢中になっている
入学式の日、俺は夜月総長の顔を隠して登校した
敬語なんてキャラじゃねぇ
だが、一族の頭が簡単に素を知られる訳にはいかねぇから仕方なく素を偽っている
総長が短気か穏やかか、信頼はあるか、独裁か、そんな些細な情報さえ襲撃の作戦を立てる材料になる
だから幹部全員が認めたやつ以外に素は見せられねぇ
隣の女なんて気にもとめず、ただ碧が構ってくるのを適当に流していた
入学式を適当に終えると、碧は俺の隣の女たちに絡み始めた
「あっ、君、代表の人だよね?」
「まぁ、そうですけど。」
「頭いいんだね〜。」
「いえ、別に。」
「あっ俺は名取碧、よろしく!」
「よろしく……。」
碧はチャラいが俗に言うイケメンだ
どんな女だろうがこいつに話しかけられれば少なからず下心を見せる
なのに、こいつはまったく、いや、逆に嫌悪のような感情を示していた
珍しいやつもいるもんだな
「私は三澤香澄!よろしく!」
「よろしくー!」
三澤って言ったか?
どうやら珍しく碧も気に入ったみたいだな
碧は無駄に女に話しかけはするが、惚れることは今まで無かった
まぁ、この女二人はその辺の女とは少し違うみたいだな
一通りのやり取りを見て興味がなくなった俺は、何となく窓の外を眺め続けた…