グレーとクロの世界で
そろそろ起きる頃か
迎えの連絡を福嶋に入れ、俺は教室にカバンを取りに行き、再び彼女が起きるのを待とうと思ったが、彼女は俺がカバンを持って戻ると直ぐに目を覚ました
抵抗する彼女をなんとか説得し、車に乗せ家まで送ることにした
“優しくしないで”
“最後にして”
そう言った彼女の目はいつになく弱々しい目だった
その言葉の意味を俺は問い詰めようと思ったが、どうやら明日までお預けらしい
少し話して直ぐに意識を落とした彼女は、やはり具合が悪かったのだど再確認する
「凪斗様、私の目が間違ってなければ病院に連れていった方が良いかと思います。」
眠っている彼女の顔は真っ赤で、呼吸も荒い
家に帰ったら彼女は誰かが見てくれるのか?
この状態で一人ならどうなる?
そう考えると、このまま家に送る気にはなれない
「行先変更だ。病院に急げ。」
「かしこまりました。」
その後俺は、病院で処置を受けた彼女について、高熱に脱水、貧血、軽い栄養失調と、医師から説明を受けた
高熱に脱水は理解できるが、栄養失調?
確かに彼女は細いが、このご時世、栄養失調なんて簡単になるものじゃないだろう
そんな疑問を抱きながら、俺は点滴した状態で眠っている彼女を一目見てから倉庫に向かった