グレーとクロの世界で
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「おー、おサボりくんのくせに随分遅かったな。」
幹部室に入った途端からかってくる碧は、いつも通りうるさい
「サボりはお前もだろ。それより話がある。」
ソファに寝転がり本を読んでいる慧史と、ゲームをしていた弦輝も俺の言葉に目を向けた
「この前連れてきた真鍋夏音の事だ。俺は本気で彼女を仲間に迎え入れるつもりだ。異論あるか?」
「異論はねぇけど、真鍋さんが嫌がるだろ。」
「彼女のこと、ちゃんと調べたのか?」
「……。」
「彼女のことは俺が説得する。あと、彼女のことを調べるつもりはねぇ。」
俺があの手この手を使えば、余るほどの情報が出てくるだろう
だが、それはしたくねぇ
仲間を疑うようなマネはしたくねぇ
「弦輝、彼女のことどう思う?」
「……悪い子では、ないと思う。」
人を見る目がある弦輝がこう言うんだから、大丈夫だろ
弦輝の言葉に碧も慧史も納得したみたいだ
それほど弦輝は敵を見抜く力がある
「俺は本格的に動くぞ。彼女を救うためにな。」
「わかった。」
その後、俺は今日のことを幹部に話した
万が一の為だ
些細なことでも共有しておくことが誰かの命綱となることもある
俺はある程度話したあと、一足先に家に戻り、明日に備えて早めに眠りについた
明日の朝一に、彼女に会うために…
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もう何時間経ったかは分からないが、窓の外には綺麗な夕日が見える
予定通り朝一で病院に来た俺は、昨日の医師に目覚めたら退院してもいいと説明を受けていたため、会計を済ませた
彼女が目を覚ましたら直ぐに帰れるように
そもそも、彼女にとっては病院に来たこと自体不本意だ
そんな金を払わせるつもりは無い
病室で眠る彼女は微熱まで熱は下がり、すぐに良くなるそうだ
病室に入ると、目を覚ました彼女が体を起こしており、直ぐに医師を呼んで診察してもらった
その後、診察を終えた彼女と俺の2人きりになり、昨日の話の続きを始めた