グレーとクロの世界で
ガラガラ

「みなさん、おはようございます。A組の担任になった齋藤幸治です。今日からあなた達も高校生です。気を引き締めて学校生活を送ってください。」


なんだか、緩そうな先生でよかった

言ってることは厳しいかもしれないけど、きっと朝の会議で言うことが決められていたのだろう

だって、そう話してる先生の顔が全く興味無さそうな顔してるから

そのほうが私にとって好都合だ

授業なんて出なくても高校生の範囲は既に学習済み

ここで学ぶことなんて何も無い

単位を落とさない程度にサボる気でいる

もちろん、理事長にバレたらお母さんに報告が行くから、バレないようにね

今日は入学式が終わり次第、さぼり場所を探しに行く予定

キーンコーンカーンコーン


「休憩したら出席順に整列してください。」


そう言い残して先生は職員室に戻って行った

ほんとに適当だな


「ねぇ、夏音、あの先生緩そうだね。」


「そうね。面倒くさくなくていいじゃない。さっさと並ぶよ。」


なんだか、私は今日いつも以上に機嫌が悪いらしい

朝からお母さんが家にいる時点で調子を狂わされた

きっとそのせいだろう

廊下に全員が整列し終えた頃、先生が戻ってきて、移動を開始した

初日の今日は、みんな大人しい

さすがに初日から暴れる人はいないみたいだ

この学校には暴走族がいるという話を聞いたことがある

頭がいい学校だからこそ、成績重視でその他は厳しくないらしい

というか、暴走族って頭悪いんじゃないの?

まぁ、私には関係ない話か


無駄に広い校内を歩き、体育館の前に立つ

これから始まる刺激のない毎日をどう色付けしていこう

その後、吹奏楽部の演奏とともに入場し、席に着くと直ぐに式は始まった

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