グレーとクロの世界で
淡々と進む式は、案外すぐに新入生代表の挨拶の時間になってしまった
「新入生代表、真鍋夏音。」
「はい……。」
一息ついて立ち上がり、壇上に上がる
壇上に上がって気づいたのは、頭の色がカラフルな人がいるってこと
そんなことを考えながら、なんの抑揚もつけずに読み始める
暴走族がいるって話は本当なのかもしれない
私とは無縁な人達なんだろうけど
「新入生代表 1年A組 真鍋夏音。」
全てを終えると、形式ばった拍手が帰ってくる
そんなのいらない
そもそもこんな挨拶いるのかしら
そそくさと席に戻り、あとは寝る体勢に入る
もう、起きてる必要ないし
朝から起こされてもう限界
それからスーッと意識が吸い込まれるように夢の世界に旅だった
「ーーー夏音……夏音……っ。起きて…。」
横から体を揺すられ、目を開けると、式が終わろうとしていた
結構寝れたな
30分は寝れた
香澄の起こすタイミングは完璧だ
「以上をもちまして入学式を終了致します。新入生退場。」
ほら、あとは退場するだけ
欠伸を噛み殺し、ゆっくりと立ち上がる
ダラダラとみんなのあとについて行き、教室まで戻っていく
「夏音ー!お疲れ!ってか、ずっと寝てたじゃん。」
「まぁ、やることはやったし、いいでしょ?」
「そうだけどさー。」
なんだか不服そうだけど、放っておこう
早く学校終わんないかな
さぼり場所探しに行きたいんだけど
これだけ広い学校なら、使ってない教室がゴロゴロ出てきそう
「おっ、凪斗お疲れー。寝てたんだろうけど。」
「寝てたのは碧でしょ?」
「あっ、バレた?」
「当たり前です。」