グレーとクロの世界で
どうやら寝ていたのは私だけではないらしい
そう思って隣の話を聞いていると、本田くんの友達が私のことを指さして声をかけてきた
「あっ、君、代表の人だよね?」
突然話を振られて少し驚きながらも、いつも通り冷たい態度を見せる
「まぁ、そうですけど。」
「頭いいんだね〜。」
「いえ、別に。」
「あっ俺は名取碧、よろしく!」
こんなに適当に受け答えしてるのに、なんでこんなに明るく返してくるんだろう
「よろしく……。」
多少押され気味に、返したその言葉は、聞こえてないかもしれない
それでもいい
「私は三澤香澄!よろしく!」
「よろしくー!」
なんか、この2人お似合いね
でも、この人名取だっけ?この人はなんか闇を感じる
どこか、本気で笑っていないような、偽っているような感じがする
本田くんは窓の外を眺めていて、見向きもしない
私にとっては好都合ね
ガラガラ
「席につけー。」
「あっ、やべっ。俺戻る!」
名取くんがバタバタと席に着くように、立っていた人たちが一斉に動く
「入学式お疲れ様でした。今日はこれで終わりですが、明日から通常通り授業が入ってきますので、頑張りましょう。それでは気をつけて帰ってください。」
さようなら、と声がかかると生徒は一斉に教室からいなくなって行った
「夏音、帰ろ!」
「私用事あるから帰ってて。」
「主席さんは大変ですなー。じゃあまた明日ね!」
「じゃ。」
香澄は首席だから何かあるんだと思ったみたいだけど、全く関係ない
訂正するのも面倒だったから何も言わなかったけど
この学校の構造はもう調べ済み
サボれそうな教室はだいたい目星が着いている
今からそこに行って、さぼり場所を決定するって感じかな
そうと決まれば行動開始