桃色のアリス


「勿論出席させていただきますぞ」


ジャックさんが笑顔で答えてくれて、吊られるように私も笑った。目尻に刻まれた皺が愛しく思えて頬が緩む。


「本当!? ありがとう、ジャックさん!」

「では私も、アリス殿のバースデーパーティーの準備をするとしますかな。この格好では、パーティーへは出席出来ませんからな」

着ている赤い仕事着を指しながらホッホッホッと笑う。また後で、とお互い笑いあって会場に向かった。


うぅ。緊張するなぁ。


一応主役なので会場の裏に行き、パーティーが始まるのを待つ。カーテンの隙間から会場を覗くと、沢山の人が集まっている。きっと、女王様がこの日のために招待状を出していたのだろう。


「ふふ……」

先程の照れていた女王様を思い出す。口ではツンケンしながらも、女王様はいつだって私の事考えてくれているんだよね。


見るとよく行くパン屋のブレッドさんや、街でよく遊ぶ子供達、その他にも城の兵士の人達。私の知り合いの人達が会場に集まっている。その中に混ざって、城の隅にチェシャ猫もいるのが見えた。


もしかしたらリズも来ているんじゃと思って探したけど、見慣れた黒髪は見当たらない。


リズと私は幼い頃からの友達で、城を脱け出した時偶然リズに会い友達になった。それ以来毎日のように街にでてリズの家に遊びには行くけれど、女王様はリズが嫌いなのか、私がリズの所に遊びに行こうとすると機嫌が悪くなる。


まさかとは思うけど、女王様はリズには招待状を出していないなんてことはない、よね。リズも一応私の誕生日は知っていると思うんだけどな。もうすぐ旅にでて会えなくなるし、リズには会いたいのに……

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