桃色のアリス


「……わぁ! 赤いリボン!」


リズからのプレゼントを開けると、中からふんわりとした赤いリボンが出てきた。


「アリス、髪縛るでしょ?勿論二つあるわよ」


リズの言うとうり、赤いリボンは二つ。どちらも鮮やかな赤色が凄く綺麗!


「アリスの桃色の髪にはやっぱり赤が似合うわ。高かったんだからね?大事にしてね」

「ありがとう! 大事にするね!」


リズから貰った可愛いリボンを暫く見つめたあと、なくさないように箱に戻す。

明日からつけようかな!


リズからの素敵なプレゼントを嬉しく思いながらも、ふとウサギを探す旅のことを思い出す。


そうだ。リズに言わなきゃ。私が十四代目“アリス”に選ばれたこと。これから旅に出なきゃいけないこと。

「アリス? どうしたの?」

「リズ、あのね、」


私、旅に出なきゃいけないの。だからリズと会えなくなるんだよ。遊べなくなるんだよ。


口に出せば泣いちゃう気がして、話を切り出したものの言葉が続かない。チェシャ猫がいると言っても、これまで一度も一人で城から出るなんてことなかったし、リズと顔を会わさない日なんてほとんどなかった。

不安と寂しさ。だめ、泣いちゃいそう。


そう思った刹那、バシン!と額に衝撃が加わる。


「いたたたた!な、な……リズ!?」


突然のことに何するの!?とまでは言えずヒリヒリする額を擦る。リズを見ると、困ったような顔をしていた。


「リズ……?」



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