桃色のアリス
「女王様、でも、私」
「世界の崩壊はもう始まっているわ。手筈は整っているの。今までウサギの監視をしてきた。そして先日より兵士に二人のウサギを来させるように手配済みよ。今日の二十四時にウサギが儀式の間にやってくるわ」
私の考えを打ち消すかのように、女王様が厳しく言い放った。
不思議の国の崩壊。
その言葉が酷く恐ろしく感じて、思わず手をぎゅっと握り締める。心臓がドクンと脈うつのが分かった。連想したのは私が住むこの街が、この城が、崩壊する場面。不思議の国の中心にあるこの城が崩壊するのなら、逃げ場などない。皆死んでしまう。
「アリス」
突然耳元で響いた声に驚いて振り向くと、先程まで柱の影にいた彼が隣にいる。 今度は違った理由でドキドキとする心臓を押さえながら、素顔の見えない彼を見つめる。
な、何だろう。
「大丈夫だよ」
「え?」
予想しなかった言葉に驚きながらも、次第に硬直が解けていく。知らない人のはずなのに、その声を聞くとなぜか安心する。
視界の端で何かが揺れた。その“何か”に視線を移すと、彼の後ろには、長くて、動物によくある、尻尾。
「世界の崩壊はもう始まっているわ。手筈は整っているの。今までウサギの監視をしてきた。そして先日より兵士に二人のウサギを来させるように手配済みよ。今日の二十四時にウサギが儀式の間にやってくるわ」
私の考えを打ち消すかのように、女王様が厳しく言い放った。
不思議の国の崩壊。
その言葉が酷く恐ろしく感じて、思わず手をぎゅっと握り締める。心臓がドクンと脈うつのが分かった。連想したのは私が住むこの街が、この城が、崩壊する場面。不思議の国の中心にあるこの城が崩壊するのなら、逃げ場などない。皆死んでしまう。
「アリス」
突然耳元で響いた声に驚いて振り向くと、先程まで柱の影にいた彼が隣にいる。 今度は違った理由でドキドキとする心臓を押さえながら、素顔の見えない彼を見つめる。
な、何だろう。
「大丈夫だよ」
「え?」
予想しなかった言葉に驚きながらも、次第に硬直が解けていく。知らない人のはずなのに、その声を聞くとなぜか安心する。
視界の端で何かが揺れた。その“何か”に視線を移すと、彼の後ろには、長くて、動物によくある、尻尾。