メーティスの猛毒
様々な凶悪事件の加害者家族の話があり、本当に日本には守ってくれる法律がないのだと透は勉強になった。

そして、司会者が香奈の名前を呼び、香奈がステージの上に立つ。そしてマイクを手にした。

「……私の兄は、最近ワイドショーで再び騒がれるようになった無差別殺人を起こしました。当時、私は高校生でした。家に帰ると見知らぬ人からの電話が鳴り止みませんでした。知らない人から怒鳴れ、「家族も死刑になれ」と言われたあの日は、今でも夢に見ます。そして、私たち家族はーーー」

「裁かれて当然だ!!」

怒りを含んだ大声に、全員が声のした方を見る。透たちから少し離れたところで一人の男性が立ち上がり、香奈を睨み付けていた。

「のうのうと生きやがって!!お前の兄のせいで、俺は妻とお腹にいた俺の子どもを失ったんだよ!!」

男性が何かを手に持っていることに透は気付く。その正体を知って顔を真っ青にした。村田刑事が立ち上がり、「警察だ!!包丁を捨てろ!!」と叫ぶ。
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