メーティスの猛毒
男性が倒れ、会場がざわつく。近づこうとする人々に、玲奈が叫んだ。
「全員、二人に近づくな!!死ぬぞ!!」
そして、村田刑事に人々を会場の外に出すように命じ、玲奈もステージに近づく。ステージには、被害者家族と加害者家族の遺体が転がっている。
「……」
玲奈は何も言わず、手を合わせる。一見無表情に見えるその顔には、どこか悔しさや憂いが混じっていた。まるで、自分の大切な人の死を目の当たりにしたかのように……。
透の胸が、ズキンと痛んだ。
それから香奈の体液を調べたところ、玲奈の思った通り彼女の体液は猛毒に侵されていた。
それを全て終わってから知った時、玲奈はまた悔しげな顔をしていた。
「やっぱり、助けたかったんだよな?」
透が訊ねても、玲奈は何も言わなかった。それでもその顔は、「助けたかった」と言っていた。
そして、香奈が殺害されてから数週間。玲奈はあの時のことを何も言わない。透と美咲も話題にはしない。いつもの日常に戻っていた。
「全員、二人に近づくな!!死ぬぞ!!」
そして、村田刑事に人々を会場の外に出すように命じ、玲奈もステージに近づく。ステージには、被害者家族と加害者家族の遺体が転がっている。
「……」
玲奈は何も言わず、手を合わせる。一見無表情に見えるその顔には、どこか悔しさや憂いが混じっていた。まるで、自分の大切な人の死を目の当たりにしたかのように……。
透の胸が、ズキンと痛んだ。
それから香奈の体液を調べたところ、玲奈の思った通り彼女の体液は猛毒に侵されていた。
それを全て終わってから知った時、玲奈はまた悔しげな顔をしていた。
「やっぱり、助けたかったんだよな?」
透が訊ねても、玲奈は何も言わなかった。それでもその顔は、「助けたかった」と言っていた。
そして、香奈が殺害されてから数週間。玲奈はあの時のことを何も言わない。透と美咲も話題にはしない。いつもの日常に戻っていた。