メーティスの猛毒
二 犯罪者の家族
不審死の話を聞いたものの、透は村田刑事が持ってきた事件の調査に集中しているうちに不審死の話は頭の片隅に追いやられていた。

「さて、公園にいる虫を調べよう」

ある日、白衣を脱いで玲奈が言った。虫の世話を終えた透は「もしかして、これ以上増やすつもりかよ!」と呆れる。世話をするのは最近は透一人だ。

「当たり前だ。それが助手の仕事だろ」

玲奈はそう言い、透を連れて研究所の外に出る。犬の散歩の時以外は外に出ることが少なく、新鮮な空気がおいしく透は感じた。

研究所から歩いて数分ほどの場所に大きな公園がある。平日の昼間のためか、それほど人はいない。散歩をする高齢者の姿があるだけだ。

「これなら邪魔されずに研究できるな」

満足そうに玲奈が言う。以前、公園に行った時には小学生に邪魔され玲奈は冷たいほどの目を向けていた。それを思い出し、透は苦笑する。

「お前、結婚に絶対向いてないな。子どもが嫌いって……」

「別に嫌いではない。ただ、うるさいガキが嫌いなだけ」
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