メーティスの猛毒
お茶を用意する香奈に、透は気になったことを訊ねる。振り向いた香奈の目は悲しみにあふれていた。
「記者から逃げるためです。私は、どこに行っても犯罪者の妹であることに変わりませんから……」
「す、すみません……」
透は慌てて謝罪したものの、重く暗い空気は拭えない。沈黙がしばらく続いたのち、玲奈が口を開いた。
「香奈さんは、たくさん動物を飼っていたんですか?」
玲奈の指差す先には、犬や猫など多くの動物の写真が飾られている。香奈がふわりと優しく微笑んだ。
「はい。幼い頃から犬や猫が好きで……。でもみんな、歳を取る前に死んでしまいましたけど……」
「それはなぜですか?」
透が質問すると、香奈の顔はまた暗いものに変わった。
「……わからないんです。口の周りに舐められただけなのに、怪我をした部分を舐められただけなのに、涙を舐めてくれただけなのに、元気だった犬たちは数時間後には……」
「なるほど……」
「記者から逃げるためです。私は、どこに行っても犯罪者の妹であることに変わりませんから……」
「す、すみません……」
透は慌てて謝罪したものの、重く暗い空気は拭えない。沈黙がしばらく続いたのち、玲奈が口を開いた。
「香奈さんは、たくさん動物を飼っていたんですか?」
玲奈の指差す先には、犬や猫など多くの動物の写真が飾られている。香奈がふわりと優しく微笑んだ。
「はい。幼い頃から犬や猫が好きで……。でもみんな、歳を取る前に死んでしまいましたけど……」
「それはなぜですか?」
透が質問すると、香奈の顔はまた暗いものに変わった。
「……わからないんです。口の周りに舐められただけなのに、怪我をした部分を舐められただけなのに、涙を舐めてくれただけなのに、元気だった犬たちは数時間後には……」
「なるほど……」