君を名前で呼びたくて
今月の中橋さんの成績はすごかった。

いつも1000万でバケモノって呼ばれてたのに、月半ばで既にその1000万を超えてしまった。

そして、月末最終日、中橋さんからの報告の電話を私が取った。

「こんばんは。はなまるでございます」

『中橋です。お疲れ様です』

「お疲れ様です。所長ですね?」

『あ、ねこ先生、ちょっと待って』

「はい」

なんだろう?

『ねこ先生、今夜、時間ある?』

「はい、大丈夫ですけど…… 」

『俺さ、今日で2000万超えたんだ』

「えっ、すごっ……
 おめでとうございます」

『ありがとう。でね、内緒なんだけど、
 俺、甘いものがめっちゃ好きなの。
 でも、男一人でそういう店入りにくい
 じゃん?
 今回もねこ先生のアポで契約取れたから、
 帰りにスイーツメインの夕飯、
 付き合ってくれない?』

「えっ、あの、でも…… 」

『ダメ?』

「あ、いえ、ダメではありませんが…… 」

『やった! じゃあ、なるべく早く
 上がれるようにするから、駐車場で
 待ってて』

「……はい 」

『良かった。じゃあ、所長に代わって』

私は所長に電話を代わり、その途端に放心する。

私、中橋さんと食事に行くの?

スイーツメインって何?

絶対、緊張して何も食べられないよ。
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