君の専属被写体モデル。
写真のデータを家に帰ったら送る、と言ってくれた葵ちゃん。
お礼を伝えても、興奮は冷めない。
「葵ちゃんってすごいね! 私、本当に尊敬する! 写真1枚1枚が生きてるっていうか! 表情が違うもん! それって、葵ちゃんが――」
「ちがうっ!」
言葉を遮って、大声を出した葵ちゃん。
私はびっくりして、固まった。
「ちがう! 私は、凄くなんかないし、尊敬されるような人間でもないし!」
葵ちゃんの目から、大粒の涙がこぼれ始めた。
「今日一緒に居て思ったけど! 私は……」
葵ちゃんの言葉は止まらなかった。
「写真なんて、偽物でしかない! 一瞬だけ表情作れば、それで終わりなの! 笑顔も幸せも、そんなイメージで写真を撮れば、偽物が本物に見えるだけ! 実際の私は!」
そこまで言って、葵ちゃんは言葉を止めた。
涙をこぼしながら、葵ちゃんは言った。