禁断プラトニック~元若頭が惚れたのは女子高生~
五十代くらいのサラリーマンと、派手めの女子高生。ふたりはお互いのスマホを突き合わせてぺこぺこお辞儀をし合い、それから人目を避けるようにして、細い路地の方へ向かう。
売春かパパ活か……ってとこか?
そんな予想をしながら観察を続けていると、俺の視界から消える直前、男が小さな薬瓶のようなものをポケットから取り出して女子高生に見せた。
ただの売春なら無視しようと思ったが、あの薬はたぶん……ただの薬じゃねえ。
「朝っぱらからなに物騒なもん出してんだ……」
俺は面倒に思いながらも、路地に入ったふたりの後を追った。
勝又組にいた頃、俺自身も違法な薬に興味がなかったといえば嘘になるが、虎之助のおやっさんに「クスリだけはやめとけ」と厳しく忠告されていたため、手を出したことはない。
しかし組員の中にはクスリに溺れた奴もいて、最終的には日常生活すらまともに送れなくなるほど狂ってしまう姿を、何度か目の当たりにしてきた。
俺みたいに元々腐ってる人間ならともかく、普通の女子高生に勧めていいモンじゃねえだろ……。
路地に入ると、少し先を歩くふたりの背中が目に入る。俺は早足で彼らの背後に近づくと、強引に女子高生の腕を掴んで引き寄せた。