禁断プラトニック~元若頭が惚れたのは女子高生~
「きゃっ!」
体勢を崩した彼女を胸に抱き留め、すぐそばで驚きに目を見開いているサラリーマンを睨みつけた。
「な、なんだきみは」
自分で言うのもなんだが、眼光の鋭さには自信がある。次第にサラリーマンもビビった顔に変化してきて、ごくりと息を呑んだ。
「……ウチの組の大事な娼婦に妙なクスリ与えないでいただけます?」
「く……組? 娼婦? ま、まさか、ぼ、暴力団……?」
「……だったら?」
そう問い返せば、サラリーマンは「ひっ!」と悲鳴を上げて眉毛を八の字にすると、突然その場に土下座した。
「ど、どうか見逃してください……!」
「いいからさっさと失せろ。目障りだ」
「は、はいいいっ!」
地面から飛び跳ねるように立ち上がり、サラリーマンはすたこら逃げていく。その情けない姿を見送った後、俺は思い出したように女子高生を解放した。
「お前、大丈夫か――」
そう尋ねた瞬間、左頬に強い衝撃が走り、掛けていた眼鏡がどこかへ飛んでいった。どうやら女子高生から派手な平手打ちが飛んできたらしい。
……なんで俺が殴られるんだ。