禁断プラトニック~元若頭が惚れたのは女子高生~
「待って……!」
必死な声で引き留められ、怪訝な顔で振り返る。すると、今にも泣きだしそうな顔をした女子高生が、声を震わせながら言った。
「助けて……」
その姿には、俺の頬を張った時のような威勢のよさはすっかりなく、ひと回り小さくなってしまったかのように見えるほど、弱々しく儚げだった。
以前の俺なら、「俺には関係ない」と非情な態度を取ったことだろう。しかし、沖田孝蔵のお節介で苺や勇海と接するようになってから、俺にも人並みに人間らしい感情が備わっていることを知った。
例えばそう、目の前でさめざめと泣く女子高生を放置して立ち去るのは忍びないと思うような感情が――。
「……ついてこい」
俺はぼそりとそれだけ告げて、路地の出口に向かって歩き出す。女子高生は返事をしなかったものの、俺の後ろをトボトボついてきて、俺に言われるがまま車の助手席に乗った。