禁断プラトニック~元若頭が惚れたのは女子高生~
俺はそんな軽い気持ちだったのだが、ちらりと窺ったみりの横顔は、どこか嬉しそうなものだった。
……こいつ、さっきまで泣いてなかったっけか。ま、いいけど。
「……で? なんで死にたくなったんだ?」
「ねえ、直球すぎ。もうちょっとオブラートに包みなさいよ。ところでさ、烈って本当に暴力団の人なの? だから死ぬとか言っても驚かないとか?」
興味津々に聞かれて、「……元な。つい最近ムショから出てきた」と答えた。すると、みりはがっかりしたようなため息をつき、ボソッとこぼす。
「なんだ。もし本物なら、私も組に入れてもらおうかと思ったのに」
「……そんなに今の環境が気に入らないのか」
俺の問いに、みりは自嘲気味に答えた。
「まぁね。……うち、両親とも教師で、エリート志向でさ。私にそんな能力ないのに〝お前はやればできる〟とか言って、レベルの合ってない塾に通うのを強要したり、家庭教師をつけてみたり……。あげく、〝こんな友達と付き合うからいけないんだ〟とか言って、友達付き合いも制限されてさ。そのせいで私、学校でハブかれてんだよね」
ハハッと力なく笑うみりが痛々しい。俺には親と呼べる存在はいないが、いつもそばにはおやっさんがいた。
どんなにつらくても、誰に何を言われても、絶対的に信頼できる彼の存在がいたから、生きてこれたのだと思う。