禁断プラトニック~元若頭が惚れたのは女子高生~
な、なにが起こっている……? 視線をあちこち彷徨わせても、映るのは目を閉じたみりのどアップだけ。泣きすぎて少々マスカラの落ちた目元、十代らしく張りのあるきれいな肌……。
なんで俺、女子高生にキスされて……?
なんの反応も示さずじっとしているうちに、みりは背伸びをしていたかかとを下げて唇を離した。至近距離で目が合うと、どくん、と心臓が大きく脈打つ。
……は? おい、相手は女子高生だぞ。なにを動揺しているんだ。お前は泣く子も黙る勝又組の元若頭だろうが……!
自分にそう言い聞かせていると、みりは手の中で畳んでいた眼鏡を開いて再び俺に掛けてくれる。相変わらず距離が近くて、俺の胸はやはりドコドコうるさく鳴っていた。
……こんな子どもにキスされたくらいで反応するなんて、刑務所に入っていた間の禁欲生活が効いているのだろうか。そうだろ? そうとしか思えない。
「……なんのつもりだ」
平静を装って、冷たく尋ねる。みりはくるりと俺に背を向け、手でメガホンの形を作ると海に向かって大声をあげた。
「好きになっちゃったのーーっ!」