禁断プラトニック~元若頭が惚れたのは女子高生~
どうやらいとこだというのは、嘘や冗談ではなさそうだ。しかし、おやっさんは今まで子どもがいるなんてひと言も俺に話さなかった。
おやっさんにとって、俺はしょせんその程度の存在だったのか……?
……こんなふうに何に対しても悪い方に受け取るのは、幼い頃からのくせだ。そうしてなにもかも最初からあきらめた方が、後で心に受けるダメージが少ないから……。
「……で、同情してくれてるってわけですか」
俺は皮肉気に言って、鼻で笑った。
自分は日本有数の巨大メガバンクの頭取で、何不自由ない豊かな暮らしをしている。かたやそのいとこはやくざの若頭で、惚れた女を監禁して殺人未遂の罪を犯すという、クズ中のクズ人間だもんな。そりゃ同情もするだろう。
「どう思おうと自由だが、私はとにかくなにかきみの力になりたくて、色々と考えた。その結果、きみの身元引受人になろうと決めた」
「……は? アンタ、正気か? 俺が娘になにをしたのか忘れたのか?」
沖田孝蔵のありえない発言に、思わず笑いがこみ上げた。