禁断プラトニック~元若頭が惚れたのは女子高生~
「孫の勇海と苺だ。勝又くんには毎日この子らの送迎をお願いしたい」
出所してからまっすぐ沖田孝蔵の家に連れてこられた俺は、自分に与えられた予想外の仕事に愕然としていた。
目の前に立っているのは、小学生の兄妹。沖田孝蔵の孫ということは、当然あのふたりの子どもなわけで……。
「この子らの両親は知ってるのかよ、このこと……」
隣に立つ孝蔵にこそっと耳打ちすると、彼は当然のように「ああ」と頷いた。
「ふたりとも仕事が忙しくてね。喜んでお願いしたいそうだよ」
いったいどういう神経してるんだよあの夫婦……。俺が子どもに危害を加える可能性とか、考えなかったのか?
黙りこんで戸惑うばかりの俺に、十歳前後と思われる兄の勇海が声をかけた。
「おいおっさん、名前くらい名乗れよ」
くそ生意気なその口調に思わずイラっとした。いや、口調だけではない。このガキ、あの忌々しい御曹司・鞍馬尊の遺伝子をそっくりそのまま受け継いだらしく、やけに整った顔をしてやがるのだ。
ああ……アイツの顔を思い出したら余計にむかついてきた。