禁断プラトニック~元若頭が惚れたのは女子高生~
「……なんだとくそガキ」
「まぁまぁ勝又くん、相手は子どもだから」
孝蔵にたしなめられ、俺は「チッ」と舌打ちをして吐き捨てるように名乗る。
「……勝又、烈」
「烈くん! すごい、カッコいい名前~」
ほんわか穏やかな声を上げたのは、一年生くらいに見える妹、苺だ。こっちはこっちで、母親の美織そっくりの顔立ちをしている。
ふたりそろうとミニチュア鞍馬夫妻を見せられているようで、不愉快極まりない。
「どこがカッコいいんだよ、略してカツレツだぞ」
「あ、そっか。カッコいいじゃなくて美味しそう!」
「……いや、ただただクソだせぇだけだろ」
……嘘だと言ってくれ。どうしてかつての勝又組ナンバーツーが、毎日こんなガキたちのお守りをしなきゃならないんだ。めんどくせえ。刑務所の方がまだマシだ。
「あの、このお話、お断りします。自分の仕事は自分で探しますから、もう俺にはお構いなく――」
孝蔵に小声でそう話している最中のことだった。突然誰かにギュッと手を握られ、怪訝な目を向けた先には、屈託なく笑った妹の苺がいて。