禁断プラトニック~元若頭が惚れたのは女子高生~
……しかし。勝負は俺の思い通りには運ばなかった。
「はい、カツレツ大貧民~」
「……うるせえ。ふたりしかいないんだから、お前が大富豪、俺は富豪だ」
「烈くん、弱いんだねトランプ……」
沖田家の広いリビングに、苺のしょんぼりした声が響いた。十回勝負をした中で、俺は勇海にただの一度も勝てなかったからだ。
こんなはずでは……。だって、組の舎弟たちとヒマつぶしにやっていた頃は、自然と強い手札が俺のところに……。そこまで考えて、ハッと気がつく。まさかアイツら、わざと俺を勝たせるようにイカサマしてやがったのか……?
上下関係に厳しい極道の世界の特徴を今さら思い出し、がっくり肩を落とす。
……小学生にも勝てねえわけだ。思わず苦笑をこぼすと、突然苺が俺の顔を至近距離から覗いた。
「烈くんが笑った!」
「……あ?」
意味不明な苺の発言に、思わず眉根を寄せる。
「ママとパパとおじいちゃんとおばあちゃんと、それから大おばあちゃんにね。苺とお兄ちゃんで頑張って烈くんのこと笑わせてあげてって、頼まれてたの!」
笑わせるって……俺を?
予想外の言葉にどう反応したらよいかわからず目を瞬かせていると、勇海も正面から俺を見つめて話す。