キミだけはずっと傍にいて。

もし、冬舞くんや特別寮のみんなとの出会いが偶然だとしても、今はその偶然を大事にしよう。


「二人とも色々教えてくれてありがとねっ。それじゃあわたし、行ってくる。」


「あ、いってらっしゃーい。」


「何か進展があったら、ちゃんと報告しなさよー。」


し、進展って…

そんなのあるわけないのに……


わたしは二人に苦笑いを浮かべてから冬舞くんの元へ急ぐ。




「…何してたの?遅い。」


わたしの姿をとらえるなり、不満そうな顔をする冬舞くん。


「ご、ごめんねっ…。美優ちゃんと汐音ちゃんと少しお話してたの。」


「…ああ。友達の。ならいい。」


わたしが二人の名前を出すと、冬舞くんの表情は幾分和らいだように見えた。
< 116 / 296 >

この作品をシェア

pagetop