キミだけはずっと傍にいて。

****


「ゆうなちゃん、行ってらしゃーい。」


「あ、行ってきます。」


晴希さんの声を背に、今日も急ぎめで学校に向かおうとする。


「…遅い、ゆうな。」


「……へっ?と、冬舞くん?」


びっくりして辺りを見渡すと、寮の玄関脇で少しムッとした顔をした冬舞くんが立っていた。


「な、なんで…も、もしかして、わたしのこと待っててくれてた?」


じっと冬舞くんを見つめると、フイッと顔を逸らされてしまった。


「…別に。そうだったら悪い?早く行こ。ゆうなのせいで遅刻するかも。」


「あ…ちょっ//冬舞くん…!」


冬舞くんはわたしの声を無視して、わたしの手を握りながら学校へと歩いて行く。


さりげなく繋がれた手が嬉しい。


恥ずかしいとも思うけど、やっぱり冬舞くんの温もりを感じると安心するんだ。
< 164 / 296 >

この作品をシェア

pagetop