キミだけはずっと傍にいて。
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「ゆうなちゃん、行ってらしゃーい。」
「あ、行ってきます。」
晴希さんの声を背に、今日も急ぎめで学校に向かおうとする。
「…遅い、ゆうな。」
「……へっ?と、冬舞くん?」
びっくりして辺りを見渡すと、寮の玄関脇で少しムッとした顔をした冬舞くんが立っていた。
「な、なんで…も、もしかして、わたしのこと待っててくれてた?」
じっと冬舞くんを見つめると、フイッと顔を逸らされてしまった。
「…別に。そうだったら悪い?早く行こ。ゆうなのせいで遅刻するかも。」
「あ…ちょっ//冬舞くん…!」
冬舞くんはわたしの声を無視して、わたしの手を握りながら学校へと歩いて行く。
さりげなく繋がれた手が嬉しい。
恥ずかしいとも思うけど、やっぱり冬舞くんの温もりを感じると安心するんだ。