キミだけはずっと傍にいて。

わたしが男の子に魅入っていると、再び男の子の低い声がする。


「キミ、聞こえないの?そこ、僕の席だって言ってるんだけど。」


「ご、ごめんなさい…!今どきますから…!」


わたしはガタンッと音を立てて、慌てて立ち上がる。


男の子は、机の中から何かを取り出すと、わたしの方をじっと見つめてくる。


うっ…なんかすごく見られてる……


「あ、あの…さっきはごめんなさいっ…。わたし、あなたの席だって知らなくて…えっと…」


ちゃんと謝ったはいいものの、じっと見つめられて緊張し、上手く言葉が出てこない。


「キミ、見ない顔だね?っていうか、もしかして僕の追いかけ?」


お、追いかけ…?

どういうこと……?


いきなり男の子から発せられた言葉の意味が分からず、わたしの中はさらに混乱してゆく。
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