キミだけはずっと傍にいて。
*ゆうなside*
どうして冬舞くんが……
いつものわたしなら、お姫様抱っこされていることを恥ずかしがって、下ろしてほしいと頼んだだろう。
でも、さっきの見知らぬ男の子に触られろそうになったことが思った以上に怖く、今は冬舞くんの温もりをただ感じていたかった。
それにしても、冬舞くんはどこへ向かっているのかな…?
保健室とか…?
さっきからお互い無言を貫いている。
やがて冬舞くんがわたしを連れて入ったのは、屋上から一番近い空き教室だった。
「ゆうな……」
弱々しい声でわたしの名前を呼びながらギュッとわたしを腕の中に閉じ込めた冬舞くん。
わたしはそんな冬舞くんを強く抱きしめ返す。