キミだけはずっと傍にいて。

だって、親らしいことをしてくれたことなど、一度もないから。


だから、施設に入ると決まった時、正直安心した。


でも……その施設での生活も、決して楽ではなかった。


施設には僕以外にもたくさん子どもがいて、学校と同じように集団生活をすることが求められた。


食事の時間も、お風呂の時間も決まっていて、自分よりも小さい子の面倒を見なければならない。


一人でいることが多かった俺には、施設での生活は慣れないばかり。


だけど、この頃の俺はまだまだ何も知らなかったと思う。


学校でも施設でも、それなりに仲の良い友達がいたから。




施設に入ってからおよそ4年。


僕が小学4年生の時だった。


突然施設を訪れたある夫婦が、俺を引き取りたいと言ってきたんだ。
< 269 / 296 >

この作品をシェア

pagetop