キミだけはずっと傍にいて。
…あそこ僕の席。
…誰?
女……?
僕の席に座る髪の長い人影を確認すると、僕の心は急速に冷えていった。
「…ねえ。そこ、僕の席なんだけど。」
自分が思っていたよりも、低い声が出た。
僕の声に、その人影はビクッと肩を震わしてこちらに振り返った。
振り返った女は、見たことない顔だった。
最も女の顔なんて誰一人覚えてないけど。
その女は、俺の顔に見惚れたみたいに、ぼんやりと僕の顔を眺めている。
……はあ。
この女も僕の追いかけか……?
内心うんざりしながらも、もう一度同じことを繰り返す。
「キミ、聞こえないの?そこ、僕の席だって言ってるんだけど。」
そう言うと、女はハッとしたようにガタッと音を立ててイスから立ち上がる。