キミだけはずっと傍にいて。

すると、突然体が宙に浮くような感覚がした。


もしかしてわたし、冬舞くんにお姫様抱っこされてる……?


冬舞くんはわたしを抱き上げたまま無言で階段を上がっていく。


部屋に入ると、わたしをゆっくりベッドへ下ろしてくれた。


「…ゆうな。今みたいに何かあったら、我慢しないで僕に甘えて?」


わたしの頭を撫でながら優しく言ってくれる冬舞くん。


「うん…」


「ん。いい子。…おいで?ギュッてしてあげるから。」


そう言って、冬舞くんはいつものようにふわりと微笑んだ。


そんな冬舞くんの胸に、わたしは迷わず飛び込む。


さっきまですごく怖かったのに、冬舞くんが傍にいるだけですごく安心するんだ。




「おやすみ、ゆうな。」


冬舞くんのその言葉を最後に、わたしはいつの間にか眠りについた……───


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