幼馴染との正しい距離感2
「話は後にして、保健室行こ?」


あまりに痛々しすぎて、見てられない
ちゃんと手当てしてからじゃなきゃ
話なんて耳に入ってこない


そのまま、すーちゃんの手を取って
保健室へ向かおうとする私

だけど、すーちゃんはそれを拒んだ



「大丈夫だから」

「でも」

「…ほんと、つむぎは昔っから変わんないな」

「え?」

「自分の事より、相手のことばっか」


握ったままの手をじっと見下ろして
苦笑を浮かべる


「嫌なことをしてきた相手の心配するとか」


「あんなに怖い目に遭ったくせに」


本当に馬鹿だよな、なんて言いながらも
その表情は穏やかで


私を見て、柔らかく笑う


「……そういうとこが、好きなんだ」


向けられた「好き」が特別な「好き」だって、はっきり伝わる

やんわりと、私の手を離して
すーちゃんは深々と頭を下げる


「この前はごめん
謝って、どうにかなるもんでもないと思うけど」
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