幼馴染との正しい距離感2
笑顔で言えば
目を丸くしていたすーちゃんは
ふっと、目元を優しく緩めて

くしゃりと嬉しそうに笑う



「なあ、つむぎ
俺さ、倖に言ったんだ
ちょっとした負け惜しみ」




『少しでも
お前が他の女になびいたりしたら
容赦なく、つむぎを奪うからな』




「そしたらさ
あいつ、なんて言ったと思う?」




『ありえない』



『俺は、あの子のものだから』



『今も、これからも
ずっと、あの子だけのもの』



『つむぎ以外のものにはならない』



『俺を好きに扱っていいのは、つむぎだけ』




「もの扱いされるのを
あんだけ嫌がってたあいつが
つむぎなら構わないって言ったんだぜ」



くすくすと笑いながら
すーちゃんは私に優しい眼差しを向ける


すーちゃんの綺麗な瞳に映る自分は
びっくりしたような、戸惑ったような
なんとも言えない顔をしてる



………だって



こーくんは
自分を『物』扱いされるのをとても嫌う


昔のトラウマ

今もずっと、こーくんの心に残ってる


表面にあまり出さなくなっただけで


今も変わらず
嫌悪感と不快感を持ってる
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