幼馴染との正しい距離感2
苛立ちを抑えるような声と表情に
私はなんとも言えない気持ちになる


私のために怒ってくれたのは嬉しい

でも

すーちゃんの顔に出来た痛々しい傷は
それで済ませられるものじゃい

どんな状況であれ、暴力は良くない


………だけど



「俺の大事な恋人に手を出して
あげく、泣かせて、傷つけたんだから」



今度は苛立ちと怒りを隠すことなく声に乗せる

だけど、その声と表情に反して
私に触れる手は
まるで壊れ物を扱うように優しくて



…………どれだけ自分が
大事に思われているのか、改めて実感して



「つむぎちゃん?」



………やっぱり、すごく嬉しくて


こーくんへの好きが溢れる


唐突に抱きついた私に
こーくんは不思議そうな表情を浮かべる



「……こーくんは、ずるい」

「…なにが?」

「不意打ち、ずるい」

「?僕、不意打ちなんてした?」

「したの」
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