幼馴染との正しい距離感２

安心させるように答える早川君に
私は安堵のため息をついてから、笑顔を返した


「つむぎ先輩は
男に好かれるタイプの人間だって
ちゃんと自覚した方がいいですよ」



恋愛絡みのいざこざが原因の出来事だと
察してる早川君に
暗に警戒心を持てと注意されてしまう



……なんか
すーちゃんにも、こーくんにも
似たようなことを言われたけど…



「自覚って言われても
それっぽいこと、今までなかったよ？」



男の子から声をかけられたこともなければ
すーちゃんを除いて
告白された事も今までなかった


頻繁に声をかけられたり、告白されたり
そういうアプローチがあれば
さすがの私だって警戒心は持つし
その相手と距離を取ろうとは思うけど…



私の返しに、早川くんはどうしてか
がっかりしたような、傷付いたかのような表情を浮かべて

それから、諦めたように
盛大にため息をこぼした



「そういう人達が
つむぎ先輩に近付く前に
矢橋先輩が排除してたんですよ」


「きっと昔から」


「好意も、悪意も、憎悪も
つむぎ先輩に届く前に
矢橋先輩が全部、払い除けてたんです」



「……本当に、それはもう、いい笑顔で
ものすごい威圧感を醸し出しながらね……」



誰かから聞いたのか
それとも、実際にそういう場面を目撃したのか

分からないけど

早川君は乾いた笑顔を浮かべながら
遠い目で、ここではないどこかを見つめてる