生きていくんだ。それでいいんだ。
「そうだ星野くん。
ここセイズ署刑事課の・・【暗黙の了解】の話は誰かから聞きましたか?」
「え・・・なんですかそれ・・?」
「テッちゃんの他にも、
煙草を吸う人はいます。
その為、喫煙者の方々は・・
調書の作成の合間、
捜査が行き詰まった時、
自分の気持ちを落ち着かせたい時、
シチュエーションは様々ですが、
屋上の喫煙スペースへと向かい、
ニコチンを体内へ補充します。」
「・・・・・・・・・。」
「しかし【事件が解決した後】だけは、
【誰も喫煙所には近づくな】という暗黙の了解がこの課にはあります。」
「・・・・???」
「今回だけは私が許可しましょう。
今から屋上に行ってみてください。」
「え・・・・・え!!?」
「・・・・・・。」
「まさか・・・!?」
「まだ22時ですか・・。
うん、恐らくまだテッちゃんはいるでしょうね。」
「まだ帰ってなかったんですか?
いつも“夜は余計に怖いから”
ってすぐ帰っちゃうのに・・。」
「ふふっ。星野くん、最後にもう一つ、
良い事を教えてあげましょう。」
「何ですか・・?」
「“被害者は嘘をつく”とテッちゃんから教えられたと思いますが・・。」
「・・・・・・・。」
「私から言わせれば、そう言うテッちゃんも・・嘘をつきます。」
僕の分の湯飲みも、
梅田課長は流し台へと持っていく。
“どうぞ、洗っておきますから”
その言葉に甘えて、
屋上へ続く階段へと向かった。